祖父の箱火鉢

先日は、通り土間の家 完成見学会にお越し下さいました皆様、誠にありがとうございました。
また、ご協力頂きました建主様に、心より感謝申し上げます。


数年前、家の片付けをしていたら、今は亡き祖父が使っていた箱火鉢が出てきた。


底をみると、昭和拾貳(十二)年四月、町の将棋大会で優勝したときの賞品らしい。


灰の受け皿となる「落とし」は、劣化して穴があいてしまっていた。

私が生まれた翌年に亡くなった祖父。
記憶はないけれど、きっと将棋が大好きで、この火鉢を愛用していたのだろう。
火鉢を眺めていたら、そんな物語がみえてきて、直してみようと思う孫。

早速、仲間の板金屋に落としを銅板で折れないか相談してみる。
すると「高くつくぜ」とニヤリ。
その訳は、職人の技術が試される手仕事に挑むワクワクのニヤリ。

数日後、丁寧に折られた銅板の落としが届いた。
早速、箱に落し込んでみると、ぴったり納まった。

先日の手炙り火鉢と同様、薪ストーブの熾きを移し、今は来客用の火鉢として使っている。
子どもが将棋を覚えたら、この火鉢の横で将棋を打ちたいと思う。

「使い、壊れ、捨てる」は「使いつづけ、傷んだら、繕う」に。
「古びたもの」は「活かし生きるもの」に。

homejournal


Copyright 2021 yamajuusekkeisha. All Rights Reserved.