015

強い風が吹くある日の出来事。

近所のおじさんに「親戚の家で樫の木切ったから要るかい?」と、二つ返事で伺ったお宅で玉切りに精を出す。

ふと、古い味噌小屋が目に入り、背筋が伸びる。

さっきまで玉切りに夢中だったが、一転、味噌小屋に心奪われる。

いつ建てられたかわからないと家主は話すが、察するに明治と思われる。

小さいながら均斉の取れた佇まいに心奪われていたが、細部に目をやると、丁寧な仕事の上にあると気付く。

継ぎ足してほんのりむくりをつけた破風板。

梁と桁が十字に交差する渡りあごの仕口。

土台の出隅は、大入ほぞ差し込み栓打ち。

竹小舞下地の土壁。

表に現れた基礎の切込み砂利は、洗い出しのような表情。

 

ふと、我に返ると、強い風が止んでいたある日の出来事。