建て方
二階の天井高を確保するため、屋根は6寸勾配(約31度)。
いつも通り軒は深く、樋を含めた軒の出は1.5m。
屋根が羽をのばした鳥のように大きく、一歩引いて見たときにバランスよく。
垂木間には面戸板。
屋根裏に外気を取り込むため、台形にくり抜き、虫やコウモリが入らないようステンレスのメッシュを貼る。
表面は水洗いで汚れを落とし、手斧(ちょうな)で仕上げた表情はそのままに。
古梁には仕口などの切欠きがあるため、屋根荷重は直行する母屋で負担。
古梁は意匠的な役割に留めた。
丁寧に解体・保管されていた古梁を新たな家で活かすため昨年10月に採寸。
設計はこの作業から始まった。
柱や梁など、県産材の桧で揃えた構造材の大半は、意匠として表に現れる化粧材。
表に現れる柱や梁には、壁や天井を差し込むための溝加工を施している。
こうするこどで構造材が乾燥収縮しても、壁や天井との取り合い部分に隙間が生じにくい。
構造材が意匠的な役割も果たす場合、すべては建て方までの事細かな段取りが肝心。
市街地の喧騒を離れた小ちいさな集落で、木組みの家づくりが本格的にはじまった。
鳥野目の家|2020年6月11日