胡桃
台風以降、訪れていなかった近くの公園へ。
目に見えなかった恐怖は、堤防に大きな爪痕を残していた。
あの夜、なぜ家族で避難所へ行ったのか、子どもたちと話しながら公園を散策していると。
「あっ、咲いてる」と声を上げていると。
「狂い咲きだね」と声を掛けてきた一人の男性。
すると、「この公園で拾えるんだよ」と子どもたちに胡桃をくれた。
40年近くこの公園で遊んできたが、胡桃を見たことがない。
「ほら、あそこ」と男性が指さす先には。

子どもたちの目はキランと光り、オニグルミの木の下にまっしぐら。
夢中になっている子どもたちをよそに、立ち去ろうとする男性。
もの知りだったので、「もしや、学校の先生をやられていたんですか?」と聞くと、
「いやいや、ただのもの好きです」と言って去っていった。
庭先だけじゃなく、身近な自然にもっと目を向けようと改めて思った、とある日の素敵な出来事。


